本当に正しくシステムの変革を行っているのはどの企業でしょうか?

中国の古いことわざに、こうあります。「もっとも優れた人たちとは、もっとも自分自身に厳しい人たちである」。自己満足は、いつもイノベーションの敵なのです。本当のイノベーションの精神を持ち続けたいと思うならば、「私たちはリーダーの一員だ」という思いこそ、最悪のものだと言えるでしょう。

謙虚さというか、いろいろなものが上手くいっていないと気付いていること。これが、イノベーターの本当の特徴なんです。 続きを読む 本当に正しくシステムの変革を行っているのはどの企業でしょうか?

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世界銀行のイノベーションと学習について (2)

世銀は、人々のつながりを築き、そして、世界中で起こっている本当に革新的なものごとに注目を集めて、境界を超えた学習を支援するという点において、とても大きな影響力を持っています。これは、いわゆる「ナレッジ・バンク」というアイデアの背景に常に存在していました。しかし、彼らは、「パッケージ化されたナレッジ」という考えに囚われてしまっているように思います。 続きを読む 世界銀行のイノベーションと学習について (2)

世界銀行のイノベーションと学習について (1)

「正式な」システムを通して(イノベーションや学習が)起こることはないでしょう。どの大きな組織にも言えることです。それは、小さな集団で起こるものです。例えば、現場、いわゆる本部の指示系統から少し離れた場所で起きるものだと思います。問題は、どうやってこのイノベーションにレバレッジを効かせて、大きくしていくかです。 続きを読む 世界銀行のイノベーションと学習について (1)

オットー・シャーマー x ピーター・センゲ(U.Lab インタビュー その6)

U.Lab 1.0より、オットー・シャーマーによるピーター・センゲのインタビュー(前回の続き)です。MITシステムダイナミクス研究所でのジェイ・フォレスター博士との出会いを語ります。

2015年9月10日開始「U.Lab – Transforming Business, Society, and Self 2.0」の登録はここから


ジェイ(フォレスター)は、MITでこの特殊なシステム研究のアプローチを立ち上げた人物だった。彼はエンジニアだった。歴史的に見ても、エンジニアの中のエンジニアだった。MITのチームを率いて、初の汎用デジタルコンピューターを作ったのは彼だ。1940年代の後半から50年代にかけて、ジェイはコアメモリーと呼ばれるものを開発した。これは、電子計算を可能にするための、最初の技術的ブレイクスルーだった。トランジスターよりも前の話だし、他のどんな電子技術の開発、つまりハードウェアと呼ばれるものの、どれよりも前の話だ。実際の話、ジェイたちは真空管を使ってコンピューターを作ったんだ。ラジオに使われていた、40年か50年前のハードウェアのテクノロジーを使ったんだ。

しかし、彼らには、このビジョンがあった。ベーシックデザインのブレイクスルーを起こすことだ。そして、今日で言えば、ソフトウェアとハードウェアを融合させたんだ。彼らは汎用デジタルコンピューターを考案して、そして実際に作りあげた。ただ研究所の中で組み立てただけじゃなく、はじめの28台の汎用コンピューターの製造を指導した。このコンピューターが、北アメリカ全体に設置されて、初の北アメリカ防衛システムとなったんだ。

こんな風にして、ジェイは、軍から資金を得た。ジェイたちが契約を結んだ会社が、IBMっていう企業だ。IBMがコンピュータービジネスに参入したのは、こんな経緯だ。工学科のジェイの学生たちは、デザイン、設計を担当しただけじゃなくて、実際に組み立てて、インストールするところまで、IBMを監督していた。「私たちが、ぜんぶ指導したんだ」ってジェイは言っていた。

この話は、私が共感する点を2つほど示してくれている。まず、とても現実的だということ。もし私がその時代に生きていて働いていれば、もちろん冷戦の脅威の高まりに頭を悩ませていたはずだ。だから、「どのようにして北アメリカが連携の取れた防空システムを備えるか」という現実的なニーズがあった。だけど、もっと私にとって意味があることは、おそらく、その「ぜんぶ」を自分でやる、というところだ。

君も知っていることだが、MITの学生の中には大勢いる。アイデアを思い付き、ブレイクスルー、言わばプロトタイピングみたいなものだが、これを起こす。しかし、彼らはそれだけじゃなくて、その建設や製造全般、具体化、そして実行まで監督するんだ。

昔、海軍OBだったと思うんだが、35年が経って、この施設の1つを閉鎖したという男と話した。これらの施設が建てられたのは、1953−55年だったが、この男は、80年代半ばにその1つを閉鎖したんだ。施設が30年も経ってまだ稼働していることにただ驚くばかりだった。そして男は私に言った。「私たちはそこで全部をバラバラに分解して、危険がないことを確認していた。ほとんどの設備は地下に作られている。核攻撃があっても大丈夫なようにね」。そして続けた。「だけど、この30年間の利用データをすべて手に入れてみたら、30年間の平均ダウンタイム、つまり機械が動いていない時間は、1年に2分にも満たなかったんだ!」

すごいことだよ!もちろんエンジニアの功績だ。だから、この意味で、エンジニアとして教育を受けたことは、私にぴったりだったんだ。発案と実行の両方だからだ。特に、請負業者やエンジニア、そしてデザイナーなど、さまざまに幅広い人々たちが関わる時にはね。

オットー・シャーマー: その産業全体をインキュベートするということだね。

ピーター・センゲ: そう、産業を全部インキュベートするんだ。彼らは文字通り、コンピューター産業に命を与えた。今の私たちは、その頃からすると3代目か4代目の世代だ。これに関してジェイに聞いたことがあるんだ。MITに来て、多分2年後くらいで、その頃ジェイは私のメンターになっていた。私は、それで彼を知るようになった。ある日彼と話していて、私は言った。「あなたは今35歳で、このプロジェクトを完了させました」。プロジェクトが終わった時、ジェイはまだ30代半ばだったと思うんだ。「本当に素晴らしい業績ですね。プロジェクトはさぞかしワクワクするものだったでしょう?」

彼の応えは「ノー」だった。彼がそのとき言ったのは、「リアルな仕事は全部終わったんだ。私の目から見て、はっきりしていることは、これから少なくとも2世代くらいの間、人々がコンピューターを使うのは、自分たちが常にやって来たのと同じことをするためだ。ただスピードが速くなるだけで。大量のデータの処理だ。」

そしてジェイは言った。「人々がコンピューターを使って、今迄人間がやったことのないことを始めるのは、少なくとも2−3世代経ってからだよ。」そして、「それからが、また面白くなるだろう」。そして、彼はコンピューターの分野から完全に手を引いた。そしてここへやって来て、このシステムの分野を立ち上げたんだ。

参考:

Wikipedia ジェイ・フォレスター

Whirlwindと名付けられたコンピューターの歴史

続きます


これまでの U.Lab インタビュー 翻訳:

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パート1 2 3 4 5 6 7


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URDT ウガンダの辺境を変革する

1985年頃、私はウガンダ出身の男、ムワリム・ムシェシェに出会いました。彼は1人の仲間と一緒に、とあるプログラムを始めようとしていました。これが後に、ウガンダ地方開発トレーニング(URDT)と呼ばれるようになります。彼らは、そのプログラムを当時大変な混沌の中にあったウガンダの中で、最も貧しい地域で行うことに決めました。 続きを読む URDT ウガンダの辺境を変革する

コラボレーションを実現するには、ミーティングとパワーポイント以上のものが必要です

まず、良い方のニュースとしては、環境汚染・気候変動・収入格差などのシステム的な問題を解決するためのコラボレーションが、現在各地で話題になっています。しかし、悪い方のニュースは、誰もが効果的なコラボレーションを実現できるわけではないということです。 続きを読む コラボレーションを実現するには、ミーティングとパワーポイント以上のものが必要です

システム・リーダーシップの夜明け(4)ダーシー・ウィンスロウの事例(前半)

戦略の方向性を変える:変化が起きるスペースを創り、集団としての知識と智恵の出現を可能にする|成果を出せないリーダーは、変化を起こそうとします。システム・リーダーが注目するのは、変化が生まれ、次第に自律的になっていく環境を創り出すことです。複雑な協力関係による取り組みを成功させるための必要条件が明らかになるにつれて、この戦略的ポイントの微妙な差と、変化が起こる空間を創り出すことを学ぶ人が持つ、固有の力に価値があると考えるようになりました。 続きを読む システム・リーダーシップの夜明け(4)ダーシー・ウィンスロウの事例(前半)

持続可能性:あなたが思うのとは違うもの(4)「持続可能性への取り組みに変化はありましたか?」

MIT Sloan Management Reviewに掲載されたインタビュー「Sustainability: Not What You Think It Is」(2009年)の翻訳です。ピーター・センゲが、2008年に書いた「The Necessary Revolution」のテーマは「持続可能性」でした。なぜ持続可能性なのか、彼が持続可能性をどのように捉えて、どのような取り組みに携わっているのかを紹介するインタビューです。 続きを読む 持続可能性:あなたが思うのとは違うもの(4)「持続可能性への取り組みに変化はありましたか?」

持続可能性:あなたが思うのとは違うもの(3)「その製品はどこへ行くのですか」

当然のことと受け止めている思い込みを疑わなければならないのです。これらの問題を解決しようと取り組み始めると、社内や社外のあらゆる境界を超えて取り組み始めることになります。部門を超えて協力し、バリューチェーンを超えた協力や、セクターをまたいだコラボレーションを行うという意味です。あなたが、自社のバリューチェーン全体、ごみ、毒性物質、原料、そしてバリューチェーン自体のソーシャルな役割に目を向ければ、NGOとの協力が必要になるでしょう。彼らは社会や環境の現実について、あなたよりもずっと良く知っているからです。 続きを読む 持続可能性:あなたが思うのとは違うもの(3)「その製品はどこへ行くのですか」

持続可能性:あなたが思うのとは違うもの(2)「持続可能性という言葉は好きではありません」

持続可能性の代わりになる言葉の1つは、「未来についての全て」です。ただ尋ねれば良いのです。「あなたの子どもや孫の世界は、どんなものでしょうか」と。「それがどんなものであってほしいと願いますか。」「あなた自身が、両親や祖父母からもらった世界よりも良い状態で、彼らに世界を渡すことができると思いますか。」 続きを読む 持続可能性:あなたが思うのとは違うもの(2)「持続可能性という言葉は好きではありません」

持続可能性:あなたが思うのとは違うもの(1)「Less Bad」から「More Good」へ

多くの業界は、実に資源ベースから近い場所にいます。例えば、飲料と食品で言えば、コカコーラとネスレ、それまで何の分野においてもほとんど協力したことのなかった2つの企業が共同でCEO Water Mandateを結成しました。なぜなら、水は今日の世界で最も致命的な問題であり、今後成長を望む国の多くに、水が致命的に不足している地域があることに、彼らが気付いたからです。 続きを読む 持続可能性:あなたが思うのとは違うもの(1)「Less Bad」から「More Good」へ

「変化を起こす」こと、「内省」の役割。

この「変化を起こす」という言葉もあまり良くないと思います。朝起きて、誰かに「変えられる」ために仕事に向かう人はあまりいないでしょう?この中で、今までに上司や、パートナーに対する「変革を実行しよう」としたことがありますか?今、反射的に全員が笑っているのは、今話したのがバカげた考え方だと分かるからです。しかし、私たちは組織を「変える」ことには問題を感じません。興味深いと思いませんか? 続きを読む 「変化を起こす」こと、「内省」の役割。

変化のための学習 (Part 1) 「組織変革が失敗する理由」

ほとんどのリーダーシップ戦略は、はじめから失敗する運命にあります。多くの人が長年に渡って述べているように、戦略的イニシアチブは大半がトップの牽引によるものであり、それらはせいぜいわずかな効果しか生み出せていません。企業の再編成は、各種の新戦略よりも一般的になっていますが、実際にどれだけの再編が、劇的に以前より効果的な企業を生み出したでしょうか。 続きを読む 変化のための学習 (Part 1) 「組織変革が失敗する理由」

ピーター・センゲ「現実をデザインする」(3)

もっとずっと根源的なことなのです。テクノロジーは、様々なことを可能にしますが、問題はいつも「私たちが何を可能にしたいのか」です。この問いに答えるには、私たちが生きている背景をよく考えなければなりません。現在と未来における現実とは何なのでしょうか。 続きを読む ピーター・センゲ「現実をデザインする」(3)

「エコシステムとしてのビジネス(3)」ピーター・センゲ by Wobi

サステイナブル・フード・ラボが設立されたとき、私はあるグループと話をする機会がありました。とても幅広い知識を持った、ビジネスセクターの人々で、彼らはグローバルな農業について、そして、人々について知っていました。WWFのジェイソンや、Oxfamの数名などです。私はいくつかの共通認識を得ることができました。この業界の中に、変化がきっと訪れるという認識が成長しています。どんな風に起こるか、誰も正確には知らないだけです。 続きを読む 「エコシステムとしてのビジネス(3)」ピーター・センゲ by Wobi