断続的に注意力を奪われている人のIQは、1日を通して10~20%も低下しています

聞き手:企業や組織、そこで働く人、リーダーシップなどが「花開く」ために、企業にどんなことを勧めますか?あなたであれば、集中力あるいはマインドフルネスといったものを、企業においてどのように扱いますか?

センゲ:「バカなことを止めること」です。そして、良いことの実践に集中しましょう。この両方が大切です。実際のところ私たちは、自分自身を(望む方向と)反対方向へと導くようなことをたくさんしてしまっているものです。ダイムラー・クライスラーの知人と話していると、こう言われました。「週末のメールが禁止になったんだ!」こんなふうに、多くの企業が、人々の注意を払う能力を大きく損なっているものは何かに目を向けています。

ストレスや不安も問題です。そして、頻度という問題もあります。私たちは、常に断続的に中断させられる状態にあり、何かに対応し続けることを強いられています。会議に出るとき、みんながテーブルを必要とする理由は1つだけで、自分のデバイスをテーブルの下に隠し、会議中に2つのことを同時並行できるようにするためです。この「同時に2つのことをする」という考えは、実にバカげています。2つのことを同時にはできません。1つのことしかできないのです。問題は、何かをやりながら、別のことを考えていることです。こうして永続的に注意力を失った状態で、私たちは生きています。

実際にイギリスの国立保健研究所の数年前の研究によれば、1時間おきにIQテストを行って一日を通じてIQを測定したところ、継続的に注意力を奪われている人々のIQは、1日の間に10-20%も低下していることが分かりました。「バカなことはやめましょう。みんなが自分のやっていることに注意を払える文化を、どうやってつくることができるかに目を向けましょう」とは、こういうことです。ここでもまた思うのですが、マインドフルネスという言葉が少し微妙なのです。なぜなら、大切なことは自分の集中力をマネジメントできることだからです。それを助けるために何かできるはずです。

私たちは、とても優秀なマネージャーが、このよくあるクレージーな会議に対処する方法を学んでいることに気付きました。少し時間を取ります。会議の終わりに、例えば10分でも時間を取って、会議を振り返るのです。「何が上手くいったか、いかなかったか?」など。軍隊では、アフター・アクション・レビュー(AAR)と呼びますが、これは会議の直後に行うものです。

会議が終わったら、少し時間を取って振り返ってみましょう。

  • 上手くいったことは何ですか?
  • 私たちの狙いは何でしたか?
  • 上手くいったことと、行かなかったことは?
  • 次回、何かやり方を変えたいことは?

このシンプルで簡単な振り返りの仕組みが、20年間をかけて組織のカルチャーを大きく変容させました。ですから、シンプルで、簡単で、なにか自分にできる前向きなことを探すべきなんです。何も、突飛なことじゃなくていいんです。目を閉じて瞑想する必要はありません。多くの企業において奇妙に映るでしょうから。ただ、振り返ること(リフレクション)は大切です。そして、私たちはみな、いつも、やらなければならないことの方が、それをやるための時間よりもたくさんある時代に生きています。だから、常にこの問題を抱えています。私たちがやろうとしたことは、会議にほんの少し何かを加えようということです。そして、少しの時間を割いて、振り返りの時間を取ったのです。

ですから、「バカげたことを止めること」です。そして、シンプルで前向きなことを2つくらい見つけて、その実践に集中することです。


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