教育とビジネスにおけるシステム思考 – グローバルな教育を探して(1)

2015年11月にオランダ、ハーグで行われた「IB Heads World Conference」でのインタビューです。この中で、センゲは、ビジネスと教育における学習システムの違い、そして、今「教育のルネッサンス」が起きていると考える理由について話します。
原文: The Global Search for Education: Bring On the Change


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「システム」の学びを、どのように定義しますか?ビジネスと教育におけるシステム思考は、主にどのように違っているでしょうか?

まず明らかなことは、目的が違うということです。ビジネスにおいては、事業のミッションを達成することが目的です。特定の顧客へのサービス提供なども含まれます。教育の目的は、人を育てることです。

「顧客」へのサービスも目的には含まれますが、いろいろな点で、「顧客」というのは、良くないたとえです。教育分野では、あまりに何気なく使われていますが。なぜなら、生徒たちは、学びを「受け取る」人であり、かつ、「ともに生み出す」人でもあるからです。ただ、学習とは、学ぶ者が学ぶときにこそ起きるのですから、ほとんどの場合に必要なのは、生徒たちを「ともに生み出す」人として考えることです。ですから、これは単に専門家(先生)が特定のタイプの製品(生徒)を生産するのではありません。探求と相互の成長という、共同プロセスなのです。

ビジネスと教育に共通するポイントは、コラボレーションやリスクを取ること、深い目的意識やコミットメントを継続してサポートできるような、組織風土や組織文化を育まなければならないというニーズです。この点において、教育におけるリーダーシップとビジネスのリーダーシップは、とても似通っています。

このリーダーシップの観点から見て、私はいつも話すのですが、たったひとつ最大の違いは、学校の複雑さ、特にステークホルダーの環境の複雑さです。学校における保護者のようなステークホルダーは、ビジネスには存在しません。保護者は学校にとても深い思い入れを持っています。なぜなら、自分の子どもたちの幸福と成長に対する深い想いを持っているからです。しかし、ここで同時についてまわるのは、子どもにマイナスの影響を与えるリスクに対する恐怖や、リスクを避けようとする可能性です。最後に、政治的なコンテキストも、教育分野、特に公教育では大きく違っています。しかし、すべての教育において、子どもたちの教育方法には一定の視認性があり、これもビジネスとは大変違っています。

満足できる人生を送ることのできる人間がプロダクトであるとして、教育をビジネスのように扱ってしまう罠をどうすれば避けられるでしょうか?

簡単な答えとして、私たちがいつも目的を覚えていなければならないということです。教育の目的は、人々を育てて、社会の進歩を助けることです。教育には、互いに根本的に違いながら関係し合っている2つの目的があります。生徒たちのためになること、そして私たちの将来の社会のためになることです。

教育は、社会で唯一50-70年という時間軸を持った機関です。教育は未来に影響を与える最大の可能性を持っています。ビジネスが現在において、もっとも大きな影響力を持っているのと同様です。しかし、教育ほどの時間軸を視野に入れて、社会に対してインパクトを与えるポテンシャルを持つビジネスはどこにもありません。

続きます


How do you define a learning “system”? How do you see the main differences between systems thinking for business and for education?

The obvious difference starts with the aims. In business, you are trying to achieve a business mission that involves serving some particular customer. In education, you are trying to grow people. This also involves the aim of serving a “customer” but in many ways the customer is a bad metaphor used too casually in education, because the students are both the “receivers” and the co-creators of learning. But mostly, they need to be seen as the co-creators. Learning occurs when learners learn. So this is not simply a matter of professionals (i.e. teachers) producing a particular type of product (students). It is a joint process of exploration and mutual development.

A common element that connects both business and education is the need to grow an organizational climate or culture that supports ongoing collaboration, risk-taking, and a deep sense of purpose and commitment. So in this particular way, leadership is quite similar in education as in business. What I always remind people is the single biggest difference from a leadership standpoint is the complexity of the school — in particular the complexity of the stakeholder environment. Businesses have no stakeholder analogous to a parent. Parents have a profound commitment to school because they have a deep commitment to the well-being and growth of their children. But what also comes along with that is the potential for fear and avoidance of taking risks that could adversely influence my child. Lastly, the political context of education is very different, especially in public education. But for all education, there is a degree of visibility that goes with how we educate kids that is quite different than in business.

How can we also avoid the traps of treating education as a business when the product needs to be human beings who can lead satisfying lives?

I think the simple response is we have to keep remembering our purpose. In education it is to grow people and to help society evolve. There are these two fundamentally different but related purposes in education: benefiting students and benefiting the future of our society. Education is the only institution in society that has a 50 to 70 year time horizon. It has the strongest potential to influence the future, just as business has the greatest power in the present. But no business has a time horizon of this scope and the potential to have the sort of impact on society that education does.

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